京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAで開催中の、
烏丸由美 個展『フェーシング・ヒストリーズ』に行ってきました。
イタリアに27年在住し、海外から見た70年前の日本の歴史を振り返り、
当時に撮られたモノクロ写真から得たインスピレーションをキャンバスに
ペイントするといった作品で、104点にも及ぶ展示がされています。

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広島や長崎に落とされた原爆のキノコ雲、

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落ちた瞬間の光で壁に焼き付けられたガスバルブの影、

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投下された時間に止まった時計、と長崎に落とした原爆『ファットマン』

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少年飛行兵募集のポスター、

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『DOCTORS FALL AS THEY WORK(医者達は何を成すこともできない)』
と書かれた新聞、

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壁に流れた原爆による黒い雨、栗原貞子さんによる詩、
防空壕から出てきて微笑む少女、被爆した服や人形、
原爆が落ちてから3日後には走っていたという路面電車…。

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もし写真であると、どれも目を背けたくなるような画面ばかりですが、
烏丸さんなりに選んだポップな色にすることによって直視でき、
さらに彼女から直に聞き受けた解説によって、涙をこらえるのが大変でした。
 
約1年間かけて104点を描かれた中でも、
私が特に印象に残った4作品を紹介します。



『絶忠 君が為 数ならぬ身の我命 散らばや散らん 肉弾(タマ)と砕けて』
と書かれた藤井中尉の辞世の句。
熊谷飛行学校少年飛行兵の生徒隊中隊長として精神教育を担当した同中尉は、
やがて始まった特攻によって多くの生徒を特攻に送り出した責任感から
自らも特攻を志願しましたが、妻も子もいた身であったことが一つの要素
として特攻に行くことを上司からは許されなかったのです。
妻の福子さんも引き止めたそうですが、中尉の意思は固かったことから、
特攻志願の妨げとなっている自分と子供に責任を感じ、
「お先に行っておりますから心 おきなく戦って下さい」という遺書を残して
近くの川に身を投じ心中したんだそうです。
それが辞世の句の斜め上に展示されている『母と子』です。

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「原爆死」とはっきりと彫られた墓石。
決して病死や寿命ではなく、原爆によって亡くなったという無念さ、
悔しさをここに残したかったというのがうかがえます。

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『セカンド・キス』
長崎に落とした原爆『ファットマン』の側面にアメリカ海軍W.R. Purnell
少将が書いたメッセージと署名。
『A Second Kiss for Hirohito!』(ヒロヒトに送るセカンド・キス)。
つまり、ヒロヒトというのは第二次世界大戦時の日本の天皇であった
昭和天皇の諱(いみな)であり、セカンド・キスというのは広島に続いて
二度目のお見舞いという意味です。

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私はこの展覧会についての記事を書くにあたって、
涙しながら色々な事を考えました。
 
戦後70年。
先進国でありながら唯一戦争してこなかった日本が、
武器を輸出して国に利益をもたらそうとする安倍政権や経団連に
危うさを感じています。

『もう戦争はしない』と誓った
70年前の決意をこんなところで崩してはいけない。

 
会期は、8月23日(日)まで。11:00〜19:00
(※烏丸さんの許可を得て撮影しております)


京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
京都市中京区押油小路町238-1
11:00〜19:00(最終入館18:30)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)
TEL : 075-253-1509

地下鉄:「二条城前」駅(2番出口)
南東へ徒歩約3分
市バス:「堀川御池」バス停下車すぐ