不忍画廊で開催中の、藤浪理恵子 個展『不可視の現景-Invisible Site』
に行ってきた。

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日本がした「戦争」というのは遠い昔の話のような気もするし、
原爆を投下され敗戦した日本は被害者でしょ?というような
イメージがあるが、本当にそうだろうか。
藤浪さんはアメリカ在住の美術家ではあるが、日本人として改めて
戦争を振り返った時、日本兵がしてきた残虐な歴史もあるという
事実を隠してはいけないということ。
ただただおどろおどろしい黒い影に爆発や血の赤を散りばめた
浅い表現ではなく、悲しさ、怒り、そして「戦争」という不条理に
翻弄された人々の愚かさを感じた。

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アクリル板に刻まれた、手を縛られたか細い少女の眼差し、
未来の無い表情の妊婦、目隠しされて命を奪われる覚悟をした少年。
それらの作品は『供物』という何とも痛ましいタイトルだ。

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また当時、従軍慰安婦だったおばあさんの過去の恨みや悔いも見てとれる
深いシワに、かけてあげる言葉すら見つからない。

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戦争は一方的にされる「虐待」ではなく両者とも加害者であり被害者である
「国家同士の喧嘩」だ。
最近、現役のアメリカ大統領であるオバマ氏が広島を訪れて「戦争」を
意識する瞬間があったことは確かだが、武器の輸出を始めたり、
原発をやめないこの時代だからこそ戦争の事実を風化させず、
もう一度日本人として考える機会になる展示であることは間違いない。
藤浪さんは今回の個展を「ビジネスのための展示ではない。
でもこれは美術家として表現して伝えるべきだ」とおっしゃっていたのが印象的だ。
会期は、6月5日(日)まで。


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●会場
不忍画廊
東京都中央区日本橋3-8-6
Tel. 03-3271-3810
11:00~18:30
日祝休廊