壁に飾る彫刻 岸野承 展@蔵丘洞画廊


古材や、流木、銅板等自然界で時を超え忘れられるような素材に、
一つひとつ新しい命を与えた彫刻。

素材の原形をとどめること無く作家の意思により生み出される
造形とは一味違い、その本質を生かしたまま甦えらせたかの
自然な試みとしての姿が特徴。それは具象の造形表現にもかかわらず、
例えば人物の細部の造作にとらわれることなく、実に最低限の手を
加えただけに見える大胆な仕上げ。

この造形の本質を味わうには私達自身が作品との距離を探り
どのように見えるか、どう感じるか、まるで最後の仕上げを観者の
感覚に委ねられ試されるかの様である。

これはまさに、東洋の美意識である不足を補う見立ての美意識を
求められているかのようだ。

この大らかな姿を提示する作家の表現は現代において貴重な
芸術提案ともいえよう。

対峙する私たち自身のスケールと見識を問われるかの様でもあるが、
さりげなく飽くことの無い無言の像と毎日視線を合わせ、新しい
発見や折々の思いを受け止めてくれる仲間としたい。


岸野承展
『 水鳥 』 ( 鉄刀木・流木 ) 180 × 145 × 70 mm
 

■会期:
2017年10月7日(土)~10月21日(土)
会期中無休
10:30〜18:30


■会場:
蔵丘洞画廊 
京都市中京区御池通寺町東入ル本能寺文化会館1階
電話 075-255-2232