川人綾 個展@イムラアートギャラリー


川人綾 個展2018
  • Aya Kawato ≪C/U_m-m_(b)_II≫ (部分) photo: TEPPEI KONO
  •  

垂直と水平の色彩が織りなされ、織物のような質感を持った
川人綾のグリッド(格子)の絵画作品。これらの作品は、
マスキングテープとアクリル絵具を用いて幾重にも線を描き
重ねるという、手作業の緻密さとダイナミックさをともに
要する身体的実践のもと制作されています。
 
「グリッド」の表現は20世紀以降に発展し、近代芸術における
重要な潮流のひとつとなりました。絵画内の一細部として描く
のではなく、グリッドそのものを現前させる近代的な表現は、
モンドリアンをはじめ、アメリカの抽象表現主義の画家たちや、
建築の文脈においても実践されてきました。
 
川人は、このグリッドという、平面として統御され、幾何学化
された表現に、染織という工芸の文脈を取り入れました。
手作業によってグリッドを描き重ねることで、「制御とズレ」
というふたつの効果の創出を企図しています。
無心の作業を重ねていく果てにふと生まれてくる、作家の意図を
超えた「ズレ」に宿る美的効果は、ちょうど写真に不意に
写り込んだ意図せぬ細部と同じような機微と発見をもたらします。
グリッド内部で移り変わる色彩と光の効果からは、絵画の
新たな可能性さえも感じさせます。
 
最新の神経科学への関心を核に持ち、「私達が見ているものと、
実際の対象は異なる」という知覚と認知のズレを問題意識に
据えた川人綾は、近代絵画以降のグリッドをめぐる美術史の
延長において、染織を学んだというバックグラウンドを強みに、
着実に自身の表現を確立しはじめています。
 

●会期
2018年6月15日(金)〜7月13日(金)


オープニングレセプション
日時:6月15日(金) 15:00~18:00
 
 
●会場
イムラアートギャラリー京都
京都市左京区丸太町通川端東入東丸太町31
開廊時間 :火曜日〜土曜日 / 12:00〜19:00
休廊日 :日・月・祝祭日
Tel : 075-761-7372