月本ちしほ 個展『translucence』@ギャラリーモーニング
現実と妄想が交錯するような霧の中で、私とあなたは半透明な膜に隔てられている。
半透明な世界の中で時々膜越しにすれ違う。
ぼんやりと光だけが透けて、湿った冷たい空気の中で、かすかに膜の向こう側に
その気配だけ感じて。
いま住んでいる街は秋から冬にかけて濃い霧が出ます。
霧の中では見知った風景も知らないもののように見えます。
何か半透明の膜をかけられたように見えたり見えなかったり。
それでもそれは知っている場所であることには変わりなく、
現実と妄想が交錯するような印象を受けます。
何か半透明の膜をかけられたように見えたり見えなかったり。
それでもそれは知っている場所であることには変わりなく、
現実と妄想が交錯するような印象を受けます。
長いこと絵を描くことから遠ざかっていました。
見知らぬ土地で、見知らぬ人の中で日常の生活に埋没した私はどこか
霧の中のように、そこにいるにも関わらず現実味がなく、
半透明の膜に隔てられて生活しているようでした。
霧の中のように、そこにいるにも関わらず現実味がなく、
半透明の膜に隔てられて生活しているようでした。
描きたかったことはなんだろう、なぜ描きたかったのだろう、
そこにあったはずのものが見えない。半透明の世界の中で自分まで
存在希薄な半透明な影のようになっていました。
そこにあったはずのものが見えない。半透明の世界の中で自分まで
存在希薄な半透明な影のようになっていました。
霧の中を散歩して突然気づきました。
私は以前からずっと霧の中にいたのです。そして 、これからもきっと。
私の行き場のない感情について、誰かにわかって欲しかった。
けれども私の皮膚の中の感情は、その半透明な膜を切り裂いて開いて
みせたところでこの霧の中でははっきりと見えるものではなかったのに。
けれども私の皮膚の中の感情は、その半透明な膜を切り裂いて開いて
みせたところでこの霧の中でははっきりと見えるものではなかったのに。
だから私は一言一句間違わぬように伝えようと腐心することをやめました。
自分自身も半透明になって見失っているというのにそんなことできるはずがなかった。
曖昧なものを曖昧なままに。
半透明の世界の中でこの膜越しにぼんやりとあなたとすれ違うことができたら
それでいいのだと、ようやく気づくことができたのです。
半透明の世界の中でこの膜越しにぼんやりとあなたとすれ違うことができたら
それでいいのだと、ようやく気づくことができたのです。
■月本ちしほ
1981年生まれ 東京都出身
2005 京都大学文学部 人文学科日本史学専修 卒業
2011 京都市立芸術大学 美術学部美術科油画専攻 卒業
2013 京都市立芸術大学大学院 美術研究科絵画専攻 修了
個展
2013 月本ちしほ個展 「spirare」(ギャラリーモーニング京都)
グループ展
2013 ホテルグランヴィア大阪×京都市立芸術大学×ART OSAKA
アートワークスプロジェクト「アートでねむる、アートで目覚める」
●会期
12:00~18:00
●会場
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