コロナで中止になった展覧会『アートムーブ』の事務局の対応について


関西では賞が出る公募展がいくつかあります。
その中で今年25周年を迎える公募展があったので、私、斧田が作品を応募してみました。

その公募展とは『第25回記念アートムーブコンクール』といって、PCアート振興会議
(ポテトチップス)が主催です。

アートムーブ2020

作品応募締切は2020年2月29日で、サイズ規定はあるものの、年齢や経歴等の参加資格に
ついては制限は無し。
ただ、出品料として、1点7000円、2点11000円、3点13000円の納付が全員必須です。
(作品の返送を希望する場合は、別途3000円要)
 
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【入賞・入選発表】
4月の初旬、楽しみにしていた入賞・入選の発表がされました。
(郵送で個々に通知もありました)

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入賞は叶いませんでしたが、私の名前も入選にあります。


【アートムーブの通常の流れ】
冒頭にも書きましたが、今回の公募にエントリーするには、出品料として
1点の場合7,000円。2点の場合11,000円。3点の場合13,000円を事前に納めます。
落選した人(人数不明)はそれまでなのですが、入選した人(述べ200点強)は
5月19日〜24日まで、大阪府立江之子島文化芸術創造センターで展示がされます。
また、大賞賞金30万円(買上)をはじめ、ギャラリーや画材メーカー等の協賛者からの
賞もあります。
今回の図録(全90ページ)は希望者のみに2,500円で販売されています。


【しかし、コロナによって展覧会が中止に…】
今年の4月5月は、展覧会だけでなく、プロ野球、音楽、大相撲、ゲームショー、
オリンピックなど、様々なイベントがコロナによって開催が断念されました。
5月19日から始まる予定の展示も例外はなく、残念ながら中止となりました。
緊急事態宣言の真っ只中でしたので、それは仕方ありません。
ただ、その後の事務局の対応に疑問を感じましたのでここに書かせていただきます。


【江之子島文化芸術創造センターから会場費についての発表】
会場である大阪府立江之子島文化芸術創造センターから、新型コロナウイルスによる
イベント中止は全額返金(約47万円)とアナウンスがありました。
(事務局に確認すると、まだ支払っていなかったとのことでした)


そこで気になるのは、展覧会が中止になったのは仕方ないにしても、
◎「会場費が0になったが出品料は返還されるのか?」
◎「中止ではなく、コロナが落ち着いてからという延期というカタチなのか?」
◎「または、別のカタチで対処されるのか?」
・・・と様々なパターンを想定しつつも、何も発表してこない事務局にモヤモヤしていました。


そんな中、私と同じようにモヤモヤしていた入選者の岩崎ナギさんから連絡をもらいました。
彼と面識はないのですが、私のしたツイートに共感して連絡をくれたのです。

そして、岩崎さんから何度か事務局にメールをしてくださっていました。


【事務局からの発表】
正確には「発表」ではなく問い合わせした人への回答ですが、「募集要項に主催者の
事情による場合を除き、出品料の返還には応じません。と明記させていただいて
おりますので返金はできません。」とのことでした。
また、延期ではなく中止。WEB展示もしません。預かっている作品は自費で引き取りに
来るか送料個人負担で郵送しますとのことでした。


【それを聞き、作家のひとりとして疑問】
コロナによって開催がされなかったのは理解できます。
WEB展示も最初から予定していなかったので無理なのは理解できます。
準備にかかった人件費、DM(1人10枚程度)、ポスター、審査料などの経費は
かかっているのは理解できるので全額返金すべきとは言いません。
会場がキャンセル料も不要で全額返金と発表しているということは、本来かかるべき
会場費が丸々浮いているというのに、事務局からのメールはこうでした。
「アートムーブコンクール実施のかかる費用は、事務所、作品の保管場所、
運営にあたる人件費、募集要項や図録など各種印刷物の作成費用、入選・入賞作品の
写真撮影にかかる費用、さまざまな通信運搬費、賞金等々7,000円の出品費用で
賄いきれません。アートムーブコンクールはさまざまなみなさんの応援があって
成り立っています。ご理解願います。」と。
ボランティア活動ではあるまいし、それらの経費は無事開催されていても要るものであり、
コロナと何の関係もありません。
それに、主催の"ポテトチップス"は、アートムーブの他にも展覧会の企画をしているので、
事務所費や通信費などは通常でかかるものです。
つまり、疑うようなことを言うかもしれませんが、「浮いた約47万円は儲かった」と
解釈されても仕方ない回答だと思います。


【個人的にイメージする落とし所】
搬出に関して事務局から電話がありましたので、事務局に作品を引き取りに行く際に、
代表と話をする約束をしました。
私の本音としては、7,000円からかかった経費を差し引いた数千円をみなさんに返して
欲しいと言うつもりはありません。
しかし、一切返金しません。作品返却は作家の自腹です。図録が欲しけりゃ買ってくださいは、
25年も続けてきたイベントの事務局としての信用はどうなの?という感じです。
同じく出展者の方が「図録+作品返却費事務局負担」くらいでどうだろうと言ってましたが、
すでに作品を返却してもらった人もいるようなのでそれはややこしくなります。
私もですが入選したみなさんは、半額でも返金して欲しいわけじゃなくて展示されることの
方が嬉しいでしょう。
そこで提案しようと思うのですが、江之子島文化芸術創造センターはむちゃくちゃ広いので、
来年のアートムーブと合同展示というのはどうかなと。
(25回の展示の権利はそのままで1年延期という形。
一旦作品は返却されるので加筆しても新作でもOK。)
もちろん賞に関しては今年は今年、来年は来年です。
そしたら事務局は今回浮いたお金を参加者で頭割りして返金することもないし、作家は展示も叶う。
スペース的に手狭なら少し広げるか、来年の入選を減らすかで調整すれば済むことでしょう。
何だったら、今年のメンバーで丸々来年にスライドさせたとしたら、大賞賞金30万円も不要になり、
お金的に事務局にとっては都合良いのではとすら思います。
別に無茶苦茶なクレームを言うつもりはないですが、「0か100か」という答えではなく、
お互いに話し合って落とし所を決めてもいいんじゃないかと思っていました。


【実際に会って話した事務局の回答はこうだった】
大阪府立江之子島文化芸術創造センターは場所代は全額返金(約47万円)と
アナウンスがありました。出品料7,000円/点をエントリーの時点で徴収し
(もちろん落選者からも)、一切何の対応もしないというのはどうなんですか?とききました。
かかった経費を差し引いた数千円をみなさんに返してとは言わないけど、
こういう対応は可能かどうかと提案をしました。

【提案1】会場費が全額返金されたのですね?
いくらかでも返金はされるつもりはありませんか?

A.主催者の事情による場合を除き、出品料の返還には応じません。と募集要項に
明記させていただいておりますので返金はできません。
出品料の中には会場費は含んでいないので、会場費がかからなかったからといって関係ないです。

【提案2】中止ではなく延期にできませんか?
例えば会場は広いので来年だけ今年と合同展示はできませんか?

A.年度ごとでやっているので、その年度で完結しています。合同展示はありえません。
江之子島センターも事務局のスケジュールも空いていないし、そもそもこの趣旨は賞を
決めるコンクールであり、展覧会をすることが目的ではないことは応募の時点で理解
してもらっているはずです。
不満があるなら、入選ではなく入賞してください。


【提案3】今回の図録(全90ページ)に全員の作品が収録されています。
誌面展示という形で全員に配布できませんか?

A.図録は希望者が2,500円で販売してますし、すでに買っている人もいるので無理です。


過去24年間、入選も展示されてきたのだから、展示までがセットだと思いますが…。
全員からエントリー料を集めておいて、いくらコロナで不測の事態になったとはいえ、
参加者(作家)にも非はないので、一切何もなしというのは「アーティストを応援する」
という大義名分とズレがありませんか?と問うと、部屋の奥から「全員の作品が小さく
凝縮されて載っている16ページ中綴じのペラペラの冊子(300冊で単価53円相当)と、
アートムーブの文字が刻まれたボールペン(250本で単価149円相当)」の記念品を
持ってきて手渡しされました。(作品の写真も画質も悪く適当に撮った感じ)
今回の参加者には、このわずか約200円相当の物品を渡してこの話はチャラとのことでした。


※各価格の根拠は以下の通りです↓

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作品返却の連絡も前日に電話がきただけ。上記の対応についてもアナウンス無し。
何事も遅いし明確でない。ネットやメールで一斉でお知らせしてくださいよと言いました。

「参加者にはネット環境もない人がいます。それに私たちは一人一人と密接に
コミュニケーションをとるためにネットやメールで一斉でお知らせするのではなく、
一人一人電話して伝えてるので遅くなるのは理解してください。」とのことでした。
意味不明です。

今回事務局に出向いたものの、前日にこういう話があると予約を入れたにもかかわらず、
コロナで密になるとダメだからと玄関から中には入れてもらえないまま40分間は立ち話。
そのうえ何人もの人が作品返却の受け取りで次々に来られるので、その都度会話は途切れます。
「今回は展示できなくて残念でしたね。お世話になりました。あ、ボールペンもらえるんですか。
ありがとうございました!」みたいな参加者も少なくなく、自分は一体誰の立場で何を熱く抗議
(提案)しているのだろうと、時間とともにバカらしくなってきてこれ以上言うのをやめて、
その場を後にしました。

応募していたみなさんが、こんな熱量で作品を作っているのなら事務局のこの対応もなるほどなと。
事務局はマンションの一室で、割と高齢の方が数人で運営されているようで、機転がきかず
手段もアナログです。
また、預けていた作品に傷がついたと申し出た画家もおられたようですが特に対応はなかった
そうです。
代表の方は逃げずに話をしてしてもらったことに関しては良かったと思いますが、
「私は私財を処分してまでこのイベントは続けているんです」と言われた時点で、
「いや、そういうことじゃなくて、応募してきた作家に対しての思いやりはコレっぽちも無いのか」
と痛感し、少なくとも自分が出展する場所はここじゃないなと思いました。


まとめてここに記しましたが、以前私のfacebookでも書きました。
その時にくださったコメントやメッセンジャーのスクリーンショットも掲載しておきます。
(アイコンと名前は伏せさせていただきます)


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25年も続けてきたイベントの事務局としての対応がこれでは、信用ガタ落ちですね。
少なくとも、私の知り合いのアーティストや、このサイトを読んだ人は
ちょっと考えが変わったのではないでしょうか。

個人のブログで書こうかとも思いましたが、これは個人的で感情的な出来事ではなく、
関西のアート事情のひとつとして、みなさまに知っていただきたいと思った次第です。