吾郷佳奈 個展『をちこちのここのとこ』@同時代ギャラリー


吾郷佳奈 をちこちのここのとこ





あちらこちらに、わたしたちを隔てる透けたもの。

今となっては街中にありふれたものになった透明な膜越しの風景は、透ける素材を好んで作品に取り入れてきた私にとって、とても目を奪われるものでした。その膜によって、あちらとこちらの境界が可視化されているようで、不思議に思うのです。

感染防止のためのパーテーションなどに透けるものを用いていることに、私は断絶へのささやかな抵抗を感じます。その壁は人々を隔てるものでもあるけれど、誰かが隣にいることが分かるものでもある。隣り合う繋がりをかろうじて繋ぎ止める命綱のようにも思います。

今回の展覧会では「ここのところにおけるわたし」を軸に、最近の風景として見慣れつつあるアクリル板やビニールを用いて、透明な境界で分けられた両面をひとつの平面にすることを試みます。また、日々を膜越しに捉えた絵画によって「わたし」を描きます。会期中には来場者や展覧会場といった「わたし以外」をモチーフに、ライブドローイングを行います。
複雑に絡み合った状況の輪郭線を、私の中のいくつかの視点による解釈で探ります。

あちこちの日常のなかの一つとしての、わたしの最近のところです。



1993 年島根県出雲市生まれ。
京都在住。
2016 年京都市立芸術大学 美術学部 油画専攻 卒業。
2018 年京都市立芸術大学大学院 美術研究科 絵画専攻 油画 修了。

主な展覧会に、個展「エンドレス」(同時代ギャラリー コラージュプリュス、京都、2020 年)、「こえる、境界線」(no-mu / studio 10 ㎡、京都、2020 年)、吾郷佳奈・山田千尋「おひろめ」(Powder plant、京都、2019 年)、2017 年個展「花とコンパス」(trace, 京都)など。

アクリル板、鏡、油彩、布など、あらゆる素材や技法を用いて「自画像の方法」を探っています。自他の境界をなぞり、重ねることで、不明瞭なわたしの輪郭線が、朧げながらも見えてくることに期待しながら作っています。
 


●会期
2021年11月2日(火)~11月7日(日)
12:00〜19:00(最終日は17:00迄)


●会場
京都市中京区三条通御幸町角 1928ビル2F
TEL/FAX 075-256-6155
12:00〜19:00
休廊:月曜日(祝日の場合は開廊)

地下鉄東西線市役所前駅 ZEST8番出口から南へ徒歩4分
阪急四条河原町駅10番出口から一筋西を北に徒歩8分
京都三条駅6番出口から西へ徒歩6分