笹田晋平 個展『ひねもすエンバーミング』@CRISPY EGG Gallery


1ひねもすエンバーミング


2020年、コロナ禍初期の緊急辞退宣言下で始めた点描画は、初めに「あり余った時間を潰すため」という動機があった。
「点を打つ」という、「確実に画面に定着する作業」が、先の見えない日々の中で今日1日生きたスタンプのように感じられ、当時は精神安定剤のように作用していたと思う。

2023年のコロナ禍がある程度落ちついた昨今ではその動機は消え失せ、点描は日に日に「単なる作業」という感覚が強くなってきている。
タイトルにある「エンバーミング(embalming)」とは、遺体を消毒や保存処理、また必要に応じて修復することで長期保存を可能にする技法である。(Wikipediaより)

私は点描画を描く際、下絵の段階である程度完成に近い色を決めて、その上から点で全体を覆うように描いていくのだが、いわゆる「描く」というエモーショナルな所作は初めの段階の下絵の段階までであり、そこからは下絵の持つ筆触をむしろ「殺す」作業が始まる。
結果的に画面の動きは消え、静謐になる。それは「生きた状態を保存する」という目的を持ちながら、結果的に不気味な程に「生を感じない」剥製のような印象を与える。
しかしそれは「腐らない」という、ある意味での「永遠性」を獲得する。点描のもつ時間の集積は、死体を彩る装飾品であり、死した皇帝に仕える兵馬俑である。

全てをやり尽くした絵画という死体の防腐処理のように、黄昏に向かう日本の風景を留める記録装置のように、点描という技法の意味合いが自身の中で変わってきていることを感じている。(2023.4)


笹田晋平



笹田晋平
1984年 大阪府生まれ
2007年 神戸大学 発達科学部 卒業
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主な展示​
2018年 第21回岡本太郎現代芸術賞入選展(川崎市岡本太郎美術館)
2018年 個展「I will neglect nothing」(Ohshima fine art)
2018年 個展「dance in the palace」(CRISPY Egg Gallery)
2020年 第23回岡本太郎現代芸術賞入選展(川崎市岡本太郎美術館)
2020年 グループ展「Fire of Argus」(CRISPY Egg Gallery)
2021年 個展「GOLD on backstreet」(Gallery33 south)
2022年 グループ展「アイドライゼーション・ポイント」(横浜市民ギャラリーあざみ野)
2022年 個展「ビューティフル・イミテーション」(デカメロン)
2022年 グループ展「三人展 鷹木彩乃×笹田晋平×小松夏海」(金魚空間、台湾)
2022年 グループ展「うぇあとぅしーまとふじ」(Gallery33 south)​​​

 

●会期
2023年5月27日(土)〜6月16日(金)
土日祝 13:00〜18:00
月火水木曜 休廊


●会場
神奈川県相模原市中央区淵野辺3-17-5